頑張った会社に、次の挑戦をする力を残してほしい

今日は、政治と税金について、経営者として感じていることを書いてみたいと思います。

会社が努力して利益を出す。そして、その利益から税金を納める。

社会を支える仕組みとして、必要なことだというのは理解しています。道路も、教育も、消防も、さまざまな公共サービスも、私たちの生活や仕事を支えています。会社も社会の中で商売をしている以上、その費用を負担する責任はあると思います。

ただ、そのことを理解したうえでも、経営者として率直に思うことがあります。

「頑張って利益を出した会社に、もう少し次の挑戦をする力を残してもらえないだろうか」

これは、税金を一切払いたくないという話ではありません。努力して生み出した利益を、社員や会社の未来のために使える余地が、もっとあってよいのではないかという話です。

会社の利益は、何もしなくても自然に生まれるものではありません。

お客様からご相談をいただき、現場へ伺い、調査をし、提案を考える。見積りを出しても、必ず仕事になるわけではありません。ご依頼をいただいたら、準備をして施工し、報告し、その後の状況にも対応する。

その一つひとつに、人の時間と技術と責任があります。

ボウケンでも、現場で働く社員だけでなく、電話を受ける人、日程を調整する人、資材を手配する人、報告書を整える人、多くの人が仕事をつないでいます。

利益という数字の中には、そうした社員の努力が詰まっています。

だから決算の数字を見るとき、私は単に「いくら儲かったか」だけを見ているわけではありません。この利益を使って何ができるか、誰にどう還元できるか、その先のことを考えます。

社員の待遇をよくしたい。仕事に合った道具や車両をそろえたい。新しい人を採用して育てたい。新商品の開発を進めたい。忙しさで後回しになっていた業務の改善にも取り組みたい。

使い道はいくらでもあります。

その一方で、会社を続けていくためには、手元にお金を残すことも必要です。

来月も同じだけ仕事があるとは限りません。設備が急に故障することもあるでしょう。予定していた入金が遅れることや、思わぬ対応が必要になることも考えなければなりません。

利益が出ていることと、いつでも自由に使える現金が十分にあることは、同じではありません。経営では、その両方を見ながら判断する必要があります。

会社に残すお金には、社員の雇用を守り、お客様への責任を果たすための意味もあります。

それなのに、努力して利益を増やしても、納税やさまざまな支払いを終えてみると、「次に使えるお金は、思ったほど残らない」と感じる。

この気持ちは、会社を経営している方なら、わかっていただけるのではないでしょうか。

もちろん、利益の額に応じて負担を求める考え方には、理由があります。負担する力のあるところが社会を支える。それ自体を否定したいわけではありません。

私が気になるのは、負担した後にも、その会社が成長するための力を十分に持てるのかという点です。

努力して成果を出した。その成果でもっと人を育て、もっとよい仕事をして、さらに社会へ返していこうとしている。その流れを後押しする仕組みであってほしいと思います。

例えば、同じ利益でも、その先に経営者が考えていることはさまざまです。

新しい事業に挑戦するために備えている会社もある。社員を増やすために資金を確保している会社もある。長く使ってきた設備を更新しようとしている会社もある。

そうした使い道や将来への取り組みが、もっと評価される税の仕組みにならないだろうか。私は、そこを政治に考えてほしいのです。

ただし、設備を買った会社だけが評価されればよいとも思いません。

私たちのような訪問型の技術サービスでは、人が育つこと自体が、会社の力になります。

新人に先輩が同行する時間。技術を教える時間。お客様への説明を練習する時間。失敗を振り返り、次に生かす時間。

すぐに売上として表れなくても、会社の未来に必要な時間です。人を育てる投資も、目に見える設備と同じように大切に扱ってほしいと思います。

そして、税金という名前や説明の仕方についても、考えることがあります。

「地域の安全を支える負担です」
「次の世代の教育に使います」
「災害に備えるためのお金です」

自分たちが納めたお金が何につながるのかを具体的に理解できれば、受け止め方は変わると思います。

ただ、名前を変えれば納得できるというものでもありません。

違う名前で集めても、使い道がわからず、成果が見えなければ、疑問は残ります。大切なのは、集める側が目的と結果をわかりやすく説明することです。

これは、私たちの仕事にも通じます。

お客様に見積書をお出しするとき、「この金額です」と言うだけでは、十分ではありません。何を調査し、どこに施工し、なぜその方法が必要なのか。そこを説明して、初めて費用について考えていただけます。

政治や行政にも、同じように説明を尽くしてほしいと思います。

どの課題に、いくら必要なのか。実施して何が改善したのか。効果が出なかった事業をどう見直すのか。

負担を求めることと、その負担に責任を持つことは、一組であるべきではないでしょうか。

会社では、限られたお金の中で優先順位を決めます。欲しいものをすべて買えるわけではありません。必要性を考え、時期を考え、結果を振り返ります。

国や自治体と会社では役割も規模も違いますが、お金を大切に使い、説明する姿勢は共通して必要だと思います。

また、私が望むのは、ただ一律に税金を減らせばよいという議論でもありません。

負担を減らすのであれば、その分、何を見直すのか。必要な公共サービスをどう維持するのか。将来の世代へ負担を先送りしないか。

そこまで考えたうえで、働く人や挑戦する会社が前向きになれる仕組みをつくってほしいのです。

業績が厳しい会社を支えることも大切です。同時に、努力して成長している会社が、さらに雇用や投資を増やせるようにすることも、社会にとって意味があると思います。

苦しいところを支えることと、伸びる力を育てること。その両方を、政治には見てほしいと思います。

では、私たち経営者は、税金への不満を言っていればよいのか。

当然、そうではありません。

会社に残せるお金が増えたとき、それを何に使い、どんな会社をつくるのか。経営する側にも、明確な考えと責任が必要です。

社員には我慢を求めながら、経営者だけが好きなように使っていたら、「会社にお金を残してほしい」という言葉に説得力はありません。

利益を生み出してくれた人にどう応えるのか。将来の仕事にどうつなげるのか。会社をどう安定させるのか。私自身も、そこを問われていると思っています。

ボウケンであれば、社員が安全に、質の高い仕事を続けられる環境を整えたい。技術を学ぶ時間をつくり、現場と事務の連携をよくし、必要な道具や仕組みに投資していきたい。

お客様の不安を減らす商品やサービスの開発にも取り組みたいと思っています。

そうした挑戦には、お金が必要です。そして、すぐに結果が出ない時期を支える余力も必要です。

私は、利益を出すことを、もっと前向きに語れる社会であってほしいと思います。

適切な価格で仕事を受け、約束した品質を守り、無駄を減らし、社員と協力して利益を残す。その利益で待遇をよくし、人を育て、次の仕事を生み出す。

まじめに取り組む会社が、そうした循環を続けられることは、お客様にも、社員の家族にも、地域にもつながるはずです。

税金は社会を支えるために必要です。しかし、その社会を支えている会社や働く人が、努力した先に希望を持てることも、同じように大切だと思います。

「頑張れば、次の挑戦ができる」
「利益を出せば、仲間にもっと還元できる」

経営者も社員も、そう実感できる仕組みであってほしい。

私たちも納める責任を果たしながら、使われ方に関心を持ち、必要な意見は伝えていく。そして、会社に残ったお金を、社員とお客様と未来のために大切に使っていく。

政治に求めることと、自分たちが果たすべきこと。その両方を考えながら、ボウケンを育てていきたいと思います。

株式会社防除研究所
代表取締役 梅木厚生