朝、ベランダに出たらハトが一羽止まっていた。
「まあ、そのうち飛んでいくだろう」

最初はそれほど気にしない方がほとんどだと思います。
ところが数日後、また同じ場所にいる。そのうちフンが落ちるようになり、気づけば毎日のようにハトがやって来る。
私たちボウケンジャー(防研スタッフ)がハト被害のご相談を受けると、こうした話をよく聞きます。
ハト対策で知っておいていただきたいのは、「たまたま一度飛んできたハト」と「その場所を気に入って繰り返し利用しているハト」では、状況がまったく違うということです。
今回は、なぜハトがベランダや建物に集まるのか、被害がどのように進んでいくのか、そして自分でできる対策と専門業者に相談したほうがよいケースについて、防除研究所の現場目線でお話しします。
ハトはなぜ同じ場所へ何度もやって来るのか
ハトを見ていると、同じベランダ、同じ屋根、同じ看板の上などに何度も止まっていることがあります。
これは、その場所がハトにとって使いやすいからです。
例えば、
・雨風を避けやすい
・外敵から身を守りやすい
・人があまり近づかない
・周囲を見渡しやすい
・休憩しやすい足場がある
・巣を作れる空間がある
といった条件です。
人間から見ると何でもないベランダの室外機の裏側でも、ハトから見れば「ここなら落ち着けそうだ」と感じる場所になることがあります。
そして、一度安心できる場所として利用するようになると、繰り返し戻ってくることがあります。
最初は「休憩場所」から始まることも
ハト被害は、最初から大量のフンや巣があるわけではありません。
初期段階では、ベランダの手すりに少し止まっているだけということもあります。
次第に滞在時間が長くなり、屋根の下や室外機の裏側などへ入るようになる。
さらにその場所を安全だと判断すると、夜間の休息や営巣場所として利用する場合があります。
私たちが現場を見るときも、
「どのくらいフンがあるか」
だけではなく、
「ハトがこの場所を何のために使っているのか」
を見るようにしています。
ここは対策を考えるうえで、とても大切です。
フンの量を見ると利用状況が分かることも
ベランダに数個だけフンがある場合と、一部分に大量のフンが固まっている場合では、意味が違います。
少量であれば、一時的に立ち寄っただけかもしれません。
しかし、同じ場所に毎日フンが増えているのであれば、継続的に利用している可能性があります。
室外機の裏、ベランダの隅、屋根の下などに大量のフンがある場合には、その場所で長時間休息していることも考えます。
つまり、フンは単なる「汚れ」ではなく、ハトの行動を知るための手掛かりでもあるのです。
ハトのフンは見た目の問題だけではありません
ハト被害というと、「ベランダが汚れる」というイメージが強いかもしれません。
もちろん、美観の問題はあります。
しかし、長期間フンが蓄積すると、臭いが発生したり、建物や設備が汚れたりすることがあります。
乾燥したフンが大量にある場所では、清掃方法にも注意が必要です。
いきなりホウキで強く掃いたり、勢いよく作業したりすると、乾燥した汚れが舞い上がることがあります。
少量のフンを自分で掃除する場合でも、素手では触らず、手袋やマスクを着用して静かに作業することをおすすめします。
大量に蓄積している場合は、無理をしないほうがよいでしょう。
「鳥よけを置いたのに戻ってきた」という相談
ホームセンターやインターネットには、ハト対策の商品がいろいろあります。
鳥よけのプロテクター、反射するもの、忌避用品などを試した経験がある方もいると思います。
これらで改善するケースもあります。
ただ、私たちのところには、
「最初はいなくなったけど、また戻ってきた」
「鳥よけを置いていない場所に移動した」
という相談もあります。
これは、ハトがその場所をどの程度気に入っているかによって、対策の難しさが変わるからです。
少し休憩するだけの場所と、すでに営巣場所として利用している場所では、同じ対策をしても結果が違ってきます。
DIYでできるのは初期段階
ハトがたまに手すりへ止まる程度なら、ご家庭でできることもあります。
まず大切なのは、餌を与えないこと。
自分では餌を与えていなくても、周囲に食べ物が放置されていないか確認してください。
また、ベランダを整理して、ハトが隠れやすい場所を減らすことも一つの方法です。
フンを見つけたら、長期間そのままにせず、安全に配慮しながら清掃します。
「ここは安心して長くいられる場所ではない」と感じさせる環境づくりが初期対策では大切です。
巣を見つけた場合は勝手に撤去しない
ここは特に注意してください。
ベランダや建物内でハトの巣を発見した場合、卵やヒナがいることがあります。
日本の野鳥は法律によって保護されているため、卵やヒナがいる巣を自己判断で撤去したり、捕獲したりすることはできません。
「自分の家だから自由に撤去していいだろう」と思われるかもしれませんが、野鳥については別のルールがあります。
巣を発見した場合には、中の状態を確認し、必要に応じて自治体や専門業者へ相談してください。
ハト対策でネットが使われる理由

ベランダなどでハトの侵入を物理的に防ぐ方法として、防鳥ネットがあります。
考え方は非常にシンプルです。
ハトを追い払い続けるのではなく、その空間そのものへ入れなくするわけです。
正しく施工できれば有効な方法ですが、実はネットは「張れば終わり」というほど簡単ではありません。
ネットと壁の間に隙間があれば、そこから侵入される可能性があります。
固定部分が弱ければ、時間の経過とともにネットが緩むこともあります。
さらに建物の形によって、室外機、配管、手すりなどが施工の邪魔になる場合があります。
現場では、ハトだけを見るのではなく、どのようにネットを固定すれば隙間を作らず、建物にも無理な負担をかけないかまで考えます。
プロテクターが向いている場所もある
ハトが止まる場所によっては、防鳥ネットではなく、鳥が止まりにくくするプロテクターなどを使用する場合もあります。
例えば、看板の上、窓枠、狭い庇などです。
ただし、ここでも大切なのは「なぜそこに止まっているのか」です。
一か所だけ対策すると、そのすぐ横へ移動することもあります。
そのため、施工前にはハトの行動を観察します。
どこから飛んでくるのか。
最初にどこへ着地するのか。
どこで長く休んでいるのか。
どこにフンが集中しているのか。
こうしたことを見ながら対策範囲を決めていきます。
建物によってハトの付き方はかなり違います
防除研究所では、関東・北関東・中部・関西・九州の各エリアで害虫・害獣、鳥類対策のご相談をいただきます。
同じハトでも、マンションのベランダと工場では状況がまったく違います。
工場では庇、配管、鉄骨、看板、梁などが休息場所になることがあります。
商業施設では、お客様が通る場所の上部にハトが止まり、フン被害が問題になることもあります。
太陽光パネルが設置された建物では、パネル下の空間を利用されるケースもあります。
だから、ボウケンジャー(防研スタッフ)は「ハトがいる場所」だけを見ません。
建物を少し離れたところから眺めることもあります。
どこから飛んできているのか。
どこに一度止まるのか。
どこへ移動するのか。
こうしてハトの一日の動きを想像しながら現場を見ていくと、対策するべき場所が見えてきます。
ハトがいない時間の調査も大切
現地調査に伺ったとき、必ずハトがいるとは限りません。
「今日は一羽もいないですね」
ということも普通にあります。
でも、それで調査できないわけではありません。
フンの量や位置、羽毛、巣材、建物の汚れなどを見ると、普段どこを利用しているのか推測できます。
害虫・害獣調査全般に言えることですが、私たちは対象の生き物そのものだけではなく、その生き物が残した痕跡を見ることを大切にしています。
専門業者へ相談したほうがよいケース
ハトが毎日来るようになった、大量のフンがある、室外機の裏などに巣材を運び始めた、高所に営巣している、工場や店舗で広範囲に被害がある、といった場合には専門業者への相談をおすすめします。
特に高所作業はDIYで行わないでください。
ハトを追い払うために屋根や高い庇へ上がり、転落してしまっては意味がありません。
また、すでに卵やヒナがいる場合には、法令を踏まえた対応が必要になります。
ハト対策は「嫌がらせ」ではなく「場所を使わせない工夫」
私たちはハト対策をするとき、ただ驚かせたり追い回したりすればよいとは考えていません。
ハトがその建物を利用する理由があります。
休みやすい。
雨を避けられる。
巣を作りやすい。
安全だと感じている。
ならば、その条件を一つずつ変えていく。
これが再発防止につながります。
ネットで侵入できなくするのか。
プロテクターで止まれなくするのか。
清掃して、それまで使っていた場所の環境を変えるのか。
現場によって答えは違います。
まとめ
ベランダにハトが一羽来ただけなら、すぐ大掛かりな対策が必要とは限りません。
大切なのは、その後です。
同じ場所へ毎日来るようになった。
フンが増えてきた。
滞在時間が長くなった。
室外機の裏へ入るようになった。
巣材を運び始めた。
こうした変化が見られたら、ハトがその場所を「安心できる場所」と認識し始めている可能性があります。
早い段階なら、清掃や環境整理など自分でできることもあります。
一方で、営巣、大量のフン、高所作業、広範囲の侵入防止施工などは、専門的な対応が必要です。
防除研究所では、単にハトを追い払うのではなく、ボウケンジャー(防研スタッフ)が実際の建物を見ながら、**「なぜこの場所にハトが集まるのか」**を考えるところから始めます。
関東・北関東・中部・関西・九州、それぞれ建物の形も周辺環境も違います。
だからこそ、その建物に合った方法を考える。
追い払って終わりではなく、できるだけ同じ被害を繰り返さない状態をつくる。
それが、防除研究所が大切にしている鳥類対策です。

株式会社防除研究所
代表取締役 梅木厚生