「最近、屋根の上でハトがよく鳴いている」
「太陽光パネルの下から鳥が出入りしている」
「雨樋に羽や小枝がたまっている」

「ベランダを掃除しても、翌日にはまたフンが落ちている」
住宅に太陽光発電設備が普及するなかで、こうしたハトに関する問題も見られます。
太陽光パネルは、電気をつくるために設置された大切な設備です。しかし、その設置構造によっては、パネルと屋根の間に空間が生まれます。
この空間が、ハトにとって休息や営巣に適した場所になることがあります。
普段、私たちは太陽光パネルの表面を見ることはあっても、その下がどうなっているかまで確認する機会は少ないと思います。
ところが、ハトにとっては、この人の目が届きにくい空間が魅力的な場所になる場合があります。
私たちボウケンジャー(防研スタッフ)が鳥類対策の現場で大切にしているのは、ハトを追い払うことだけではありません。
なぜその場所に集まるのか。何を目的に利用しているのか。そして、建物や設備を傷めずに再び利用されない状態をつくれるか。
今回は、ハトの生態と太陽光パネルの関係、住宅で起こる被害、そして再発防止についてお話しします。
住宅でよく見かけるハトはどんな鳥?
日本の住宅地でよく見かけるハトには、ドバトとキジバトがいます。
ドバトは駅前や公園、商業施設、住宅など、人の生活する場所でよく見られます。
群れで行動することも多く、建物の屋上やベランダ、看板などを休息場所として利用します。
一方、キジバトは首の側面に特徴的なしま模様があり、庭木や公園、住宅周辺の樹木などで見かけることがあります。
どちらも身近な鳥ですが、建物への利用の仕方には違いがあります。
特にドバトは、建物の凹凸や屋根の下など、外敵から身を守りやすい場所を利用することがあります。
ハトはもともと、岩場や崖のような場所を利用してきた鳥の仲間です。
そのため、建物の庇や梁、屋上設備などが、自然の岩場に似た環境として利用されることがあります。
人間が便利に使うためにつくった建物が、ハトにとっても過ごしやすい環境になっているわけです。
なぜ太陽光パネルの下に入り込むの?

太陽光パネルは、屋根の上に架台などを使って設置されることがあります。
そのため、屋根材とパネルの間には一定の空間が生まれます。
この空間には、ハトにとって利用しやすい条件がそろう場合があります。
まず、雨が直接当たりにくいこと。
次に、上部がパネルで覆われているため、外から見えにくいこと。
そして、人が頻繁に近づく場所ではないことです。
こうした条件が重なると、ハトが休息場所として利用することがあります。
さらに、周辺から小枝などを運び込んで巣を作る場合もあります。
ただし、太陽光パネルが設置されている住宅すべてにハトが集まるわけではありません。
パネルと屋根の隙間の大きさ、周辺の建物、近くにある餌場、ハトの生息状況などによって利用されやすさは変わります。
ハトは一度気に入った場所を繰り返し利用する
ハトの対策で知っておいていただきたいのが、同じ場所を繰り返し利用する習性です。
例えば、最初は屋根の上で休んでいただけだったハトが、やがて太陽光パネルの下へ入り込むようになることがあります。
その後、営巣場所として利用する場合もあります。
ハトは繁殖できる条件が整えば、年間を通して繁殖することがあります。
そのため、春だけ注意すればよいというわけではありません。
また、一度利用された場所では、ハトがいなくなったあともフンや羽毛、巣材などが残ることがあります。
こうした痕跡がある場合、現在も利用されているのか、以前利用されていた場所なのかを確認する必要があります。
防除研究所では、単にハトが止まっている場所だけでなく、どのように利用しているのかを調べることを大切にしています。
太陽光パネル下で起こる被害とは?
ハトが太陽光パネルの下へ入り込むと、いくつかの問題が発生する可能性があります。
まず、フンによる汚れです。
同じ場所を長期間利用すると、屋根材やパネルの架台、周辺設備などにフンが蓄積する場合があります。
また、巣材として運び込まれた小枝や羽毛などが、屋根の排水経路に影響することも考えられます。
特に雨樋や排水部分に巣材がたまると、雨水が正常に流れにくくなる場合があります。
さらに、パネル下には電気配線や接続部などが設置されていることがあります。
ハトがいるからといって、必ず設備が故障するわけではありません。
しかし、フンや巣材による汚れ、配線周辺への異物の蓄積などがある場合には、設備への影響を確認する必要があります。
ここで大切なのは、鳥類対策と電気設備の点検を分けて考えることです。
太陽光発電設備に異常が疑われる場合には、設置業者や電気設備の専門家による確認が必要になります。
屋根の下にフンが落ちていなくても安心とは限らない
ハトが太陽光パネルの下を利用していても、必ず地面に大量のフンが落ちるとは限りません。
屋根の上やパネルの下にフンがたまっている場合、地上からは分かりにくいことがあります。
そのため、ハトが頻繁に屋根へ出入りしている場合には、行動を観察することが大切です。
例えば、毎朝同じ屋根にハトが集まる。
パネルの端から出入りしている。
小枝をくわえて屋根へ飛んでいく。
特定の場所に長時間とどまっている。
こうした行動が確認できれば、休息や営巣に利用している可能性を考えます。
ただし、地上から見ただけで巣があると断定することはできません。
必要に応じて、安全な方法でパネル下の状況を確認します。
ハトの巣は勝手に撤去してもよいの?
ここは特に注意していただきたいところです。
ハトは鳥獣保護管理法による保護の対象です。
住宅の屋根やベランダに巣ができた場合でも、卵やヒナがいる巣を自己判断で撤去することは避けてください。
鳥や卵の捕獲・採取などには、原則として許可が必要です。
一方、鳥や卵がいない古い巣については、状況により撤去できる場合があります。
ただし、太陽光パネルの下など、内部が見えにくい場所では、卵やヒナがいないことを確認する必要があります。
特にハトは繁殖時期が長いため、季節だけで判断することはできません。
対策を行う前には、現在の利用状況を調べ、必要に応じて自治体や専門業者へ相談することが大切です。
ハトがいなくなれば、それで終わり?
例えば、ハトが太陽光パネルの下からいなくなったとします。
しかし、そこに大量のフンや巣材が残っていたらどうでしょうか。
雨が降るたびに汚れが流れ出たり、臭いが気になったりする可能性があります。
また、パネル下にハトが入れる空間が残っていれば、再び利用されることも考えられます。
そのため、ハト対策では、必要に応じて清掃と侵入防止を組み合わせることが重要になります。
ただし、太陽光パネルの下は狭く、電気設備も存在する場所です。
無理に手を入れたり、家庭用の高圧洗浄機で大量の水を吹き込んだりすることは避けてください。
設備の破損や感電、漏水などにつながるおそれがあります。
太陽光パネルの周囲にネットを設置する方法
ハトの侵入防止では、太陽光パネルの外周に専用のネットや金属製の防鳥部材を設置する方法があります。
これは、ハトがパネルと屋根の間へ入り込めないようにするための施工です。
ただし、単純にネットを張ればよいというものではありません。
まず、パネルと屋根の隙間を確認します。
次に、パネルの形状や架台の構造を調べます。
そして、雨水の流れや設備の通気、点検のしやすさなどを考慮しながら施工方法を検討します。
特に注意したいのが固定方法です。
屋根材へ不用意に穴を開けると、雨漏りの原因になる可能性があります。
また、太陽光パネルのフレームや架台に取り付ける場合も、メーカーの施工条件や保証への影響を確認する必要があります。
防鳥部材が強風で外れたり、パネルの排水や換気を妨げたりしないことも重要です。
ハトが入れないことだけでなく、太陽光発電設備として正常に使い続けられることが大切なのです。
清掃ではフンと巣材の両方を確認する
ハトの被害が発生している場合、清掃する範囲も重要になります。
例えば、屋根の一部分だけにフンが付着している場合と、パネル下の広い範囲にフンや巣材が蓄積している場合では、必要な作業が違います。
また、ハトのフンは乾燥すると粉じんになりやすいため、清掃方法には注意が必要です。
大量のフンを乾いた状態で掃いたり、勢いよく吹き飛ばしたりすることは避けなければなりません。
適切な防護具を使用し、粉じんを広げない方法で清掃する必要があります。
汚染状況に応じて、適切な洗浄や衛生処理を検討する場合もあります。
ただし、薬剤や洗浄方法によっては屋根材やパネル、金属部材に影響することがあります。
使用する材料や施工方法は、設備との適合性を確認することが大切です。
ご家庭でできるハト対策は?
ご家庭で最初に取り組んでいただきたいのは、ハトの行動を観察することです。
例えば、朝と夕方に屋根を確認してみてください。
ハトが何羽いるのか。
どの場所へ止まるのか。
太陽光パネルの下へ出入りしているのか。
小枝などを運んでいないか。
こうした情報を記録しておくと、調査の参考になります。
また、庭やベランダでハトに餌を与えないことも大切です。
意図的に餌を与えていなくても、屋外に食べ物が残っている場合には、鳥が集まる原因になることがあります。
少量のフンであれば、安全に手が届く場所に限り、手袋などを着用して清掃できる場合もあります。
ただし、屋根へ登っての作業はおすすめしません。
太陽光パネルの周辺は足場が限られ、屋根材も滑りやすい場合があります。
転落事故につながる危険があるため、高所での確認や施工は専門業者へ相談してください。
太陽光パネル以外にもハトが利用する場所がある
ハトが屋根を利用している住宅では、太陽光パネル以外の場所も確認することがあります。
例えば、ベランダの室外機周辺。
庇の上。
雨樋の周辺。
屋根の谷部分。
建物の梁や出っ張り。
こうした場所が休息場所として利用されている場合があります。
太陽光パネル下だけを対策しても、別の場所で被害が続く可能性があるためです。
ただし、建物全体に無条件でネットや剣山状の防鳥器具を取り付ければよいわけではありません。
どこで休んでいるのか。
どこで営巣しているのか。
どこにフンが落ちているのか。
それぞれの利用状況を確認し、必要な場所へ適切な対策を行うことが重要です。
関東・北関東・中部・関西・九州で考えるハト対策
防除研究所では、関東・北関東・中部・関西・九州の各エリアで害虫・害獣、鳥類対策に取り組んでいます。
ハトの問題は住宅だけでなく、工場や倉庫、商業施設などでも発生します。
関東や関西の住宅密集地では、周囲の建物や電線などがハトの移動や休息に関係する場合があります。
北関東や中部では、住宅の周辺に農地や広い敷地があることもあります。
九州でも、気候や周辺環境、建物の構造によってハトの利用状況は変わります。
また、工場や倉庫の屋根に設置された大規模な太陽光発電設備では、一般住宅とは異なる調査や施工計画が必要になることがあります。
例えば、屋根の面積が広い場合には、ハトが利用している範囲を正確に把握することが重要です。
さらに、高所作業の安全対策や設備管理者との調整も必要になります。
ボウケンジャー(防研スタッフ)は、建物の用途や構造、周辺環境を確認しながら、現場に合った対策を考えていきます。
専門業者へ相談したほうがよいケース
太陽光パネルの下へハトが繰り返し出入りしている場合や、小枝を運び込んでいる場合には、一度調査することをおすすめします。
また、屋根の上に大量のフンがある、雨樋に巣材がたまっている、太陽光発電設備の周辺で異常が見られる場合も、早めに状況を確認したほうがよいでしょう。
特に太陽光パネルの周囲に防鳥ネットなどを設置する場合には、屋根や設備の構造を理解した施工が必要です。
防鳥施工だけでなく、必要に応じて太陽光発電設備の設置業者とも連携できる体制が望ましいでしょう。
まとめ ハト対策は屋根と設備を守るところまで考える
ハトは私たちの身近に暮らしている鳥です。
公園や駅前で見かける程度なら、特に問題になることはありません。
しかし、住宅の太陽光パネルの下を休息場所や営巣場所として利用するようになると、フンや巣材による汚れ、排水への影響などが発生する場合があります。
だからといって、ハトがいる場所をすべて塞げばよいというものではありません。
太陽光パネルは大切な発電設備です。
建物には雨水を流すための構造があり、設備には正常に機能するための条件があります。
それらを無視した施工では、鳥類の被害が改善しても、別の問題を引き起こす可能性があります。
私は、ハト対策で大切なのは、鳥の行動と建物の構造を両方理解することだと考えています。
なぜ、ハトはその屋根を選んだのか。
どの場所を休息や営巣に利用しているのか。
どこまで汚れが広がっているのか。
設備に影響は出ていないか。
そして、どうすれば再び利用されにくくなるのか。
こうしたことを一つずつ調べることが大切です。
防除研究所のボウケンジャー(防研スタッフ)は、目の前のハトを追い払うだけでなく、建物全体の状況を確認しながら対策を考えます。
必要な清掃や衛生処理を行い、建物や設備の機能を損なわない方法で侵入防止施工を検討する。
そして、施工後もネットや固定部材に異常がないか、点検や維持管理まで考える。
関東・北関東・中部・関西・九州、それぞれの現場で建物の形や周辺環境は違います。
だからこそ、どの現場にも同じ施工をするのではなく、その建物に本当に必要な対策を考えていきたいと思います。
ハトを追い払うことが目的ではありません。大切な住宅や設備を守り、同じ被害を繰り返さない環境をつくること。
それが、防除研究所の考える鳥類対策です。
これからも私たちは、一つひとつの現場を丁寧に調査し、お客様の大切な建物と生活環境を守るために、再発防止まで見据えた仕事に取り組んでまいります。
株式会社防除研究所
代表取締役 梅木厚生