「うちは新しい家だから、シロアリは大丈夫だと思っていました」
「床が少しフワフワするけど、築年数が経っているから仕方ないですよね」
「羽のある虫がたくさん出てきたけど、普通のアリじゃないの?」
シロアリの調査では、こうしたお話を伺うことがあります。

住宅に発生する害虫の中でも、シロアリは少し特殊な存在です。
ゴキブリやムカデのように、普段の生活で姿を見かけることはあまりありません。ところが、人の目が届かない床下や壁の内部で活動し、気づかないうちに木材へ被害を与えていることがあります。
私たちボウケンジャー(防研スタッフ)がシロアリの調査で大切にしているのは、単にシロアリを見つけることではありません。
なぜその場所がシロアリに利用されたのか。建物のどこまで影響しているのか。そして、これから先も安心して暮らせる状態にするにはどうすればよいのか。
今回は、シロアリの生態や住宅に発生する理由、被害の見つけ方、予防方法について、住まいを守るという視点からお話しします。
シロアリは普通のアリとは違う生き物です
名前に「アリ」と付いているため、黒いアリの仲間だと思われる方もいるかもしれません。
実はシロアリは、ゴキブリに近い仲間です。
自然界では、枯れた木などを分解する役割を持っています。森林の中では大切な存在なのですが、住宅の木材を利用するようになると話が変わってきます。
シロアリは集団で生活し、女王や王、働きアリに相当する職蟻、巣を守る兵蟻など、それぞれ役割を分担しています。
日本の住宅で問題になる代表的な種類には、ヤマトシロアリとイエシロアリがあります。
ヤマトシロアリは比較的湿った木材を好み、床下や水回りなどで被害が見つかることがあります。
一方、イエシロアリは大きな集団を形成することがあり、条件によっては広い範囲に被害が及びます。
種類によって活動の特徴が違うため、調査の段階で見分けることも重要です。
シロアリは木材の何を食べているの?
シロアリは木材に含まれるセルロースという成分を栄養源にしています。
木材を食べられるのは、体内にいる微生物などの働きによって、セルロースを分解できるためです。
住宅には柱、土台、床組みなど、さまざまな場所に木材が使われています。
そのため、木造住宅ではシロアリの被害に注意が必要です。
ただし、鉄骨住宅やコンクリート住宅なら絶対に安心というわけではありません。
建物の構造が鉄骨やコンクリートでも、内装材や下地材などに木材が使われていることがあります。
また、シロアリはコンクリートそのものを餌にするわけではありませんが、小さな隙間や配管周辺を通って建物内部へ移動することがあります。
つまり、建物の構造だけで被害の可能性を判断することはできないのです。
新築住宅でもシロアリ被害は起こる?
「築30年だから心配」という方もいれば、「まだ築5年だから大丈夫」という方もいます。
確かに建物の年数は調査するうえで参考になります。
しかし、築年数だけでシロアリ被害の有無が決まるわけではありません。
新しい住宅でも、床下に湿気が多い、配管から水が漏れている、基礎周辺に侵入できる隙間があるなど、条件が重なれば被害が発生する可能性があります。
反対に、築年数が長くても、定期的に点検し、建物の状態を良好に保っている住宅もあります。
大切なのは、古いか新しいかではなく、現在の建物がどのような状態なのかということです。
シロアリはどこから住宅へ入ってくる?
日本で一般的な地下シロアリは、土壌から建物へ侵入することがあります。
床下の地面、基礎の立ち上がり、配管の貫通部分、基礎と建材の接合部分などが確認したい場所です。
シロアリは乾燥や外敵を避けるため、土や排泄物などを利用してトンネル状の通り道を作ることがあります。
これを「蟻道(ぎどう)」と呼びます。
床下の基礎に、土でできた細い筋のようなものが伸びている場合、それがシロアリの蟻道である可能性があります。
ただし、土の汚れやほかの昆虫の痕跡と見間違えることもあるため、見た目だけで決めつけないことが大切です。
また、すべてのシロアリが地面から侵入するわけではありません。
乾燥した木材の内部で生活する種類もいるため、種類に合わせた調査が必要になります。
お風呂場や玄関周辺で被害が見つかる理由
シロアリの調査では、水回りの状態を特に気にします。
例えば、浴室周辺。
長年使用している住宅では、目に見えない部分から水分が入り込み、周辺の木材が湿っていることがあります。
洗面所やトイレ、キッチンの配管周辺も確認したい場所です。
玄関では、土間と木材が近接している部分や、湿気が抜けにくい構造になっている部分などに注意します。
もちろん、こうした場所に必ずシロアリがいるわけではありません。
ただ、湿気や水漏れはシロアリが活動しやすい環境をつくる要因の一つになります。
ボウケンジャー(防研スタッフ)は、シロアリの痕跡だけでなく、水がどこから来ているのか、湿気がたまりやすい構造になっていないかという点も確認します。
床がフワフワするのはシロアリのせい?
床を歩いたときに、以前より柔らかく感じる。
玄関の上がり框を押すと、少しへこむような気がする。
こうした変化があると、シロアリを疑うことがあります。
シロアリは木材の内部を食害するため、表面だけを見ると問題がないように見える場合があります。
ところが内部では木材が空洞状になり、強度が低下していることがあります。
ただし、床が柔らかい原因はシロアリだけではありません。
木材の腐朽、経年劣化、施工状態など、別の原因も考えられます。
そのため、床がフワフワするからといって、すぐシロアリと判断するのではなく、床下から状態を確認することが必要です。
羽アリが出たら、まず確認したいこと

春から夏にかけて、突然羽のある虫が大量に現れることがあります。
「昨日まで何もいなかったのに、今日は窓際に羽がたくさん落ちている」
こうした場合、シロアリの羽アリである可能性があります。
羽アリは、新しい繁殖場所を求めて飛び立つ個体です。
ヤマトシロアリは春の日中、イエシロアリは初夏から夏の夜間に羽アリが見られることが多いですが、地域や気象条件によって時期は変わります。
見分ける際には、羽の形や大きさ、触角、胴体のくびれなどを確認します。
シロアリの羽アリは、前後の羽がほぼ同じ大きさなのが特徴の一つです。
ただし、一般の方が正確に判断するのは難しい場合もあります。
見つけた虫や落ちている羽を写真に撮り、可能であれば数匹を容器などに保管しておくと、種類を調べる手掛かりになります。
羽アリが出たからといって、すぐ住宅が倒壊するような状況とは限りません。
ただ、建物内部から大量に発生している場合には、早めに調査したほうがよいでしょう。

シロアリ調査では床下の何を見るの?
シロアリ調査というと、床下に潜って虫を探すイメージがあるかもしれません。
もちろん生息の有無は重要ですが、それだけでは十分ではありません。
私たちは、土台や大引き、束柱などの木材の状態、蟻道の有無、基礎のひび割れ、配管周辺、水漏れ、床下の湿気などを確認します。
必要に応じて木材を軽く打診し、内部に空洞がないかを調べることもあります。
また、以前に防蟻施工を行っている住宅では、施工時期や処理範囲なども参考になります。
ここで大切なのは、被害が見つかった場所だけで調査を終わらせないことです。
一か所に被害があれば、別の場所にも活動が広がっている可能性があります。
建物全体の状況を把握することで、必要な対策範囲が見えてきます。
ご家庭でできるシロアリ予防
シロアリ対策には、ご家庭で取り組めることもあります。
まず、建物の周囲に木材や段ボールなどを長期間放置しないことです。
特に地面に直接置かれた木材は、シロアリが利用する可能性があります。
また、雨樋の破損や水漏れを放置しないことも大切です。
建物周囲の排水状態を確認し、床下や基礎周辺に余分な水分が入り込まないようにしましょう。
床下換気口がある住宅では、物を置いて換気を妨げていないか確認することもできます。
ただし、床下の換気方法は建物によって異なるため、すべての住宅に同じ方法が当てはまるわけではありません。
また、蟻道らしいものを見つけても、すぐに壊さず写真を撮っておくことをおすすめします。
調査の際に大切な手掛かりになるからです。
市販の薬剤を使えば大丈夫?
ホームセンターにはシロアリ用の薬剤も販売されています。
しかし、シロアリ対策では、目に見える虫だけを駆除しても十分とは限りません。
木材の内部や土壌中に活動が残っている場合があるためです。
専門的な施工では、建物の状況に合わせて土壌処理、木部処理、ベイト工法などを検討します。
ベイト工法とは、シロアリに専用の餌を利用させて集団への効果を狙う方法です。
どの方法にも特徴があり、建物の構造や生息状況によって適した対策は変わります。
また、薬剤は種類によって使用できる場所や方法が異なります。
床下での薬剤散布や木材への穿孔注入などは、適切な知識と設備が必要です。
無理にDIYで施工するのではなく、専門業者へ相談することをおすすめします。
シロアリがいなくなっても、傷んだ木材は元に戻りません
ここは特に知っておいていただきたいことです。
シロアリを駆除できても、すでに食害された木材の強度が自然に回復するわけではありません。
被害の程度によっては、木材の補修や交換、建築の専門家による確認が必要になる場合があります。
つまり、シロアリ対策には二つの考え方があります。
一つは、現在活動しているシロアリへの対処。
もう一つは、被害を受けた建物の状態を確認し、これからの安全性を考えることです。
防蟻施工だけで解決できる部分と、建築的な補修が必要な部分は分けて考える必要があります。
地域によってシロアリ対策も変わります
防除研究所では、関東・北関東・中部・関西・九州の各エリアで害虫・害獣対策に取り組んでいます。
シロアリについても、地域によって気候や住宅の構造、発生する種類などに違いがあります。
例えば、暖かい地域と寒さの厳しい地域では、シロアリの活動時期や種類の分布が異なることがあります。
また、同じ中部地方でも、山間部の住宅と市街地の住宅では周辺環境が違います。
関東・北関東・関西・九州でも、床下の構造や土地の湿りやすさ、住宅の築年数などによって確認するポイントは変わります。
そのため、ボウケンジャー(防研スタッフ)は、建物ごとの状態を見ながら調査を進めることを大切にしています。
5年保証があれば、点検しなくても大丈夫?
シロアリ対策では、5年間の保証が付く施工もあります。
防除研究所でも、シロアリ対策には5年保証を設けていますが、保証内容や対象範囲には条件があります。
ここで知っておいていただきたいのは、保証期間中だからといって、建物の状態を気にしなくてよいわけではないということです。
例えば、施工後に水漏れが発生したり、増改築によって建物の状態が変わったりすることもあります。
保証の内容を確認しながら、必要に応じて点検を受けることが大切です。
シロアリ対策は、一度施工したら永遠に安心というものではありません。
住宅を長く使っていくための維持管理の一つとして考えていただきたいと思います。
専門業者へ相談したほうがよいケース
羽アリが大量に発生した場合や、基礎に蟻道らしいものがある場合、床や柱に不自然な傷みがある場合は、一度専門業者による調査をおすすめします。
また、過去にシロアリ被害があった住宅や、防蟻施工から長期間経過している住宅も、点検を検討するとよいでしょう。
ただし、点検したからといって必ず薬剤施工が必要になるわけではありません。
被害がなければ、現状を維持するための管理方法をご案内できる場合もあります。
大切なのは、調査結果をきちんと説明してもらい、必要な対策を納得して選ぶことです。
まとめ シロアリ対策は家を長持ちさせるための仕事
シロアリは、私たちの目が届かない場所で活動することが多い生き物です。
そのため、被害が見つかったときには、すでに木材が傷んでいることもあります。
でも、必要以上に怖がることはありません。
建物の状態を知り、早い段階で問題を見つけ、適切に対応することが大切です。
私は、シロアリ対策は単なる害虫駆除ではないと考えています。
家は、家族が暮らし、毎日を過ごし、長い年月をかけて思い出を積み重ねていく場所です。
その大切な建物を、少しでも長く良い状態で使っていただく。
そこにシロアリ対策の本当の意味があるのではないでしょうか。
防除研究所のボウケンジャー(防研スタッフ)は、シロアリの生息状況だけでなく、床下の湿気、木材の状態、侵入経路、建物全体の構造まで確認しながら対策を考えます。
関東・北関東・中部・関西・九州、それぞれの地域で建物の条件は異なります。
だからこそ、どの住宅にも同じ施工をするのではなく、その建物に本当に必要な対策を考えることが大切です。
シロアリを駆除することが目的ではなく、その先にある住まいの安心を守ること。
そして、施工して終わりではなく、再発防止や将来の維持管理まで考えること。
これからも防除研究所は、建物を守る仕事に責任を持ち、一軒一軒の住宅と向き合っていきたいと思います。
株式会社防除研究所
代表取締役 梅木厚生