はじめに 見た目がきれいな住宅でもシロアリ被害は起こる

「築10年の住宅だから、まだシロアリは大丈夫だと思っていた」
「玄関の木枠が少し傷んでいるけれど、古くなっただけだろう」
「床下はコンクリートだから、シロアリは入ってこないはず」
「羽アリが出たけれど、数日でいなくなったから安心した」
シロアリについて、このように考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
シロアリは、ネズミやゴキブリのように、普段から人の目に触れる生き物ではありません。
多くの場合、土の中や木材の内部、建物の見えない場所で活動しています。
そのため、被害が発生していても、長期間気づかないことがあります。
特に注意したいのは、住宅の外観がきれいでも、内部の木材が食害されている場合があることです。
私たちボウケンジャー(防研スタッフ)がシロアリ調査で大切にしているのは、「シロアリがいるかどうか」だけでなく、「どこから侵入し、どの範囲まで被害が広がっているのか」を確認することです。
今回は、住宅の見落としやすい場所に注目しながら、シロアリの生態、侵入原因、被害の特徴、そして再発防止についてお話しします。
シロアリは普通のアリとは違う生き物
シロアリという名前を聞くと、白いアリを想像する方が多いと思います。
しかし、シロアリは一般的なクロアリとは異なる昆虫です。
分類上は、ゴキブリに近い仲間になります。
シロアリは集団で生活し、女王や王、働きアリ、兵アリなど、それぞれ役割を持った個体が協力して生活しています。
自然界では、枯れ木などの植物由来の物質を分解する役割があります。
ところが、人間の住宅に使用されている木材も、シロアリにとっては餌になる場合があります。
シロアリは木材に含まれるセルロースなどを利用して生活しています。
住宅の柱や土台、床組などが食害されるのは、このためです。
つまり、シロアリは人間の住宅を壊そうとしているわけではありません。
生きるために餌を探している結果、住宅の木材が被害を受けてしまうのです。
日本の住宅で問題になる代表的なシロアリ
日本の住宅で特に問題になるのが、ヤマトシロアリとイエシロアリです。
ヤマトシロアリは、北海道の一部を除く広い地域に分布しています。
湿った木材を好み、床下や浴室周辺など、水分の多い場所で被害が発生することがあります。
一方、イエシロアリは比較的温暖な地域に多く、大きな集団を形成する種類です。
水分を運びながら活動できるため、条件によっては建物の広い範囲へ被害が及ぶ場合があります。
さらに、アメリカカンザイシロアリのように、乾燥した木材にも生息する種類があります。
こちらは一般的な地下シロアリとは生態が異なり、床下の土壌だけを対策しても十分ではありません。
シロアリは種類によって生態も侵入経路も異なるため、種類を確認せずに対策方法を決めることは適切ではありません。
羽アリが出たら、必ずシロアリなの?
春から夏にかけて、住宅の周辺で羽のあるアリを見かけることがあります。
しかし、羽アリがすべてシロアリというわけではありません。
一般的なアリにも羽アリが存在します。
見分ける際には、羽の形や体のくびれなどが参考になります。
シロアリの羽アリは、前後の羽がほぼ同じ長さで、胴体のくびれが目立ちません。
一方、一般的なアリの羽アリは、前の羽が後ろの羽より大きく、胴体に明確なくびれがあります。
また、発生する時期も判断材料になります。
ヤマトシロアリは、おおむね4月から5月ごろの昼間に羽アリが飛び立つことがあります。
イエシロアリは、6月から7月ごろの夕方から夜間に発生することがあります。
ただし、地域や気候によって時期は変わります。堺市
羽アリが住宅の中から大量に発生した場合には、建物内部やその近くにシロアリの集団が存在する可能性があります。
ただし、屋外から飛来しただけの場合もあるため、発見場所や発生状況を確認することが重要です。

コンクリートの基礎でもシロアリは侵入する
最近の住宅では、床下全体をコンクリートで覆う「ベタ基礎」が多く採用されています。
そのため、「コンクリートだからシロアリは入れない」と思われる方もいらっしゃいます。
確かに、ベタ基礎は地面からの侵入を抑えるうえで有利な構造の一つです。
しかし、完全に侵入を防げるわけではありません。
例えば、基礎の打ち継ぎ部分。
コンクリートに生じた隙間。
配管が基礎を貫通している部分。
建物の外側にある基礎断熱材の周辺。
こうした場所が侵入経路になる場合があります。
シロアリがコンクリートそのものを餌として食べるわけではありません。
コンクリートの隙間や接合部分などを利用して、木材へ到達することがあるのです。
そのため、基礎の種類だけで安全性を判断することはできません。
意外と見落とされる玄関まわりの被害
シロアリ調査で注意したい場所の一つが玄関です。
玄関には、床下とは異なる構造が使われている場合があります。
例えば、玄関の土間部分です。
土間の下には土やコンクリートがあり、その周辺に木製の玄関枠や下地材が設置されていることがあります。
建物の構造によっては、地面から近い位置に木材が存在するため、シロアリが侵入する可能性があります。
また、玄関の木枠が傷んでいても、単なる経年劣化だと思われることがあります。
表面に大きな異常がなくても、内部が食害されている場合があります。
ただし、木材の傷みがすべてシロアリによるものとは限りません。
雨水や湿気による腐朽、経年劣化などの可能性もあります。
そのため、木材の状態と周辺の侵入経路を合わせて調べる必要があります。
浴室や洗面所も重要な調査ポイント
シロアリは、水分のある環境を利用することがあります。
そのため、浴室や洗面所、台所などの水まわりは、調査で注意したい場所です。
例えば、浴室の出入口です。
長年使用している住宅では、床や壁の接合部分から水分が入り込み、周辺の木材が湿っている場合があります。
また、洗面台の下で配管から少量の水が漏れていても、普段は気づかないことがあります。
こうした状態が続くと、木材の腐朽やシロアリ被害につながる可能性があります。
ただし、水分があるだけで必ずシロアリが発生するわけではありません。
重要なのは、実際にシロアリが活動している痕跡があるかどうかです。
シロアリがつくる「蟻道」とは?
シロアリ調査で重要な手掛かりになるのが、蟻道(ぎどう)です。
蟻道とは、シロアリが土や排泄物などを利用してつくるトンネル状の通路です。
地下シロアリは、乾燥や外敵などから身を守るため、この通路を利用して移動することがあります。
例えば、床下の基礎コンクリートの表面に、茶色い土の筋のようなものが伸びている場合があります。
それが蟻道である可能性があります。
ただし、蟻道があるからといって、現在もシロアリが活動しているとは限りません。
以前の活動によって残されたものかもしれません。
そのため、蟻道の状態や周辺の木材、ほかの痕跡などを確認しながら判断します。
また、調査前に蟻道を壊してしまうと、侵入経路の特定が難しくなる場合があります。
見つけた場合には、むやみに壊さず、写真を撮影して専門業者へ相談することをおすすめします。
シロアリ被害は表面から分からないことがある
シロアリは、木材の内部を食べ進むことがあります。
そのため、表面がきれいでも、内部に空洞ができている場合があります。
例えば、玄関の木枠。
床下の土台。
床を支える木材。
こうした部分に被害が発生すると、木材の強度に影響する可能性があります。
ただし、木材を叩いたときの音だけで、シロアリ被害を確実に判断できるわけではありません。
また、床が柔らかく感じられる場合でも、原因がシロアリとは限りません。
木材の腐朽や施工上の問題など、ほかの原因も考えられます。
大切なのは、一つの症状だけで判断しないことです。
専門業者は床下で何を調べるのか?
防除研究所では、シロアリ調査を行う際、建物の構造や過去の防蟻施工状況を確認することが重要だと考えています。
例えば、築年数が何年なのか。
新築時にどのような防蟻処理を行っているのか。
過去にシロアリ被害があったのか。
雨漏りや漏水の履歴があるのか。
こうした情報は、調査を進めるうえで参考になります。
床下では、基礎の状態、木材の食害、蟻道、湿気、配管周辺などを確認します。
また、床下から確認できない場所については、玄関や浴室など、建物の構造に応じた調査方法を検討します。
ボウケンジャー(防研スタッフ)は、シロアリの痕跡だけでなく、建物そのものの状態にも目を向けながら調査を行います。
シロアリ駆除と予防は何が違う?
シロアリ対策には、大きく分けて駆除と予防があります。
駆除は、現在活動しているシロアリへの対処を目的とするものです。
一方、予防は、シロアリが建物へ侵入し、被害を発生させるリスクを減らすための対策です。
例えば、床下の土壌や木材に適切な薬剤処理を行う方法があります。
また、シロアリの習性を利用したベイト工法と呼ばれる方法もあります。
これは、専用の餌を利用してシロアリの集団に作用させる方法です。
ただし、どの工法にも適した条件があります。
建物の構造やシロアリの種類、被害状況によって、適切な方法は異なります。
薬剤を使用する場合には、製品の使用基準や安全管理を守ることが重要です。
防蟻処理は一度行えば永久に安心?
住宅の防蟻処理は、一度施工すれば永久に効果が続くものではありません。
薬剤の種類や施工方法、建物の環境によって効果の持続期間は異なります。
一般的な防蟻施工では、5年程度を一つの目安として、点検や再処理を検討することがあります。
ただし、すべての薬剤や工法が同じ期間というわけではありません。
また、保証期間と薬剤の効果が持続する期間は、必ずしも同じ意味ではありません。
施工後は、保証内容や点検条件を確認し、定期的に建物の状態を調べることが大切です。
ご家庭でできるシロアリ予防
シロアリ対策では、ご家庭でも取り組めることがあります。
まず、住宅の周囲に木材や段ボールなどを長期間放置しないことです。
特に、地面に直接接している木材は注意が必要です。
また、雨樋の破損や排水不良などによって、建物の周囲が常に湿っていないか確認してください。
室内では、浴室や洗面所の水漏れ、玄関枠の傷みなどを定期的に確認することも役立ちます。
羽アリを発見した場合には、できれば写真を撮影し、数匹を保存しておくと種類の確認に役立ちます。
ただし、床下へ無理に潜り込んだり、木材を壊して調べたりすることはおすすめしません。
また、市販の殺虫剤を見つけたシロアリに吹きかけても、建物内部にいる集団全体を駆除できるとは限りません。
むやみに薬剤を使用すると、活動場所が変わり、調査が難しくなる場合もあります。
専門業者へ相談したほうがよいケース
住宅の内部から羽アリが大量に発生した場合。
床下や基礎に蟻道のようなものがある場合。
玄関や浴室の木枠に不自然な傷みがある場合。
床下で木材の食害が疑われる場合。
こうした状況では、専門業者による調査をおすすめします。
また、新築から長期間が経過し、防蟻処理の履歴が分からない場合にも、一度点検を検討するとよいでしょう。
特に構造材に被害が発生している場合には、シロアリ駆除だけでなく、建築の専門家による補修や強度の確認が必要になることがあります。
関東・北関東・中部・関西・九州で考えるシロアリ対策
防除研究所では、関東・北関東・中部・関西・九州の各エリアで害虫・害獣対策に取り組んでいます。
シロアリの発生状況は、地域の気候や建物の構造によって異なります。
関東や北関東では、ヤマトシロアリを中心とした対策が必要になる場合があります。
中部や関西でも、住宅の立地条件や湿気、建物の構造によって被害状況は変わります。
九州では、ヤマトシロアリに加えて、イエシロアリへの注意が必要な地域もあります。
ただし、地域だけでシロアリの種類や被害の程度を判断することはできません。
同じ地域でも、建物によって侵入経路や被害状況は異なります。
だからこそ、実際の現場を確認することが大切なのです。
まとめ シロアリ対策は住宅の健康診断でもある
シロアリは、自然界では木材などを分解する役割を持っています。
しかし、住宅に侵入すると、土台や柱などの大切な木材を食害することがあります。
そして、その被害は普段見えない場所で進行する場合があります。
だからこそ、シロアリ対策では早期発見と予防が重要になります。
私は、シロアリ調査は住宅の健康診断に似ていると考えています。
人間が健康診断を受けるように、住宅も定期的に状態を確認することが大切です。
床下に異常はないか。
木材に食害はないか。
玄関や浴室に侵入経路はないか。
配管から水漏れしていないか。
過去の防蟻処理は適切に管理されているか。
こうしたことを一つずつ確認することで、建物の状態を把握できます。
また、シロアリが発見された場合には、目の前にいる個体だけを駆除するのではなく、侵入経路や被害範囲を調べる必要があります。
防除研究所のボウケンジャー(防研スタッフ)は、シロアリの生態だけでなく、建物の構造や周辺環境にも目を向けながら調査を行います。
そして、必要な駆除や予防施工を検討し、施工後の点検や再発防止についても考えていきます。
関東・北関東・中部・関西・九州、それぞれの地域で住宅の構造や気候条件は異なります。
だからこそ、すべての住宅に同じ方法を当てはめるのではなく、その建物に本当に必要な対策を考えることが大切です。
シロアリを駆除することだけが目的ではありません。お客様の大切な住宅を長く守り、安心して暮らせる環境を維持すること。
そして、被害が発生した原因を明らかにし、同じ問題を繰り返さないための対策を考えること。
それが、防除研究所の考えるシロアリ対策です。
これからも私たちは、一つひとつの現場を丁寧に調査し、お客様の大切な建物と生活環境を守るために、原因の調査から再発防止まで取り組んでまいります。
株式会社防除研究所
代表取締役 梅木厚生