「毎朝、窓の下に黒い粒のようなものが落ちている」
「夕方になると、シャッターの上から黒いものが飛び出してくる」
「換気口の周辺が黒く汚れている」
「シャッターを開け閉めすると、何かが動くような音がする」
住宅のコウモリ調査では、こうしたご相談をいただくことがあります。
最初は虫のフンだと思っていたものが、実はコウモリのフンだったという場合もあります。
また、毎日生活している住宅でも、シャッターボックスの内部や軒先など、普段見えない場所でコウモリが休んでいることがあります。

コウモリは人間を困らせようとして住宅へ入り込んでいるわけではありません。
雨風を避けられ、外敵から身を守りやすい場所を探した結果、住宅の小さな空間を利用しているのです。
しかし、長期間同じ場所を利用されると、フンや尿による汚れ、臭い、建物内部への侵入など、さまざまな問題につながる場合があります。
私たちボウケンジャー(防研スタッフ)がコウモリの調査で大切にしているのは、単にコウモリを追い出すことではありません。
なぜその場所が選ばれたのか。どこから出入りしているのか。そして、どうすれば再び利用されにくくなるのか。
今回は、住宅に住み着くコウモリの生態と、見落としやすい侵入経路、正しい対策方法についてお話しします。
住宅でよく見かけるアブラコウモリとは?
日本にはさまざまな種類のコウモリが生息しています。
その中でも、人間の住宅や建物を利用する代表的な種類がアブラコウモリです。
イエコウモリとも呼ばれ、体は小さく、夕方から夜間に活動することが多い動物です。
主な餌は、蚊やユスリカなどの小さな昆虫です。
夕暮れ時に住宅街の上空を飛び回っている姿を見たことがある方もいるでしょう。
コウモリは鳥ではなく哺乳類です。
翼を使って飛びますが、子どもを産み、母乳で育てます。
また、超音波を出し、その反響を利用して周囲の状況や昆虫の位置を把握する能力を持っています。
この仕組みを「エコーロケーション」と呼びます。
暗い夜でも小さな昆虫を捕まえられるのは、こうした能力があるからです。
自然界では昆虫を捕食する役割を持っていますが、人間の住宅を休息場所として利用することで、生活上の問題が発生することがあります。
なぜシャッターボックスに入り込むのか?
住宅のコウモリ対策で、私たちが注意して確認する場所の一つがシャッターボックスです。
シャッターボックスとは、窓の上部に設置され、シャッターを巻き取って収納する部分です。
外から見ると金属製の箱のように見えますが、内部にはシャッターを巻き取るための空間があります。
構造によっては、外部とつながる隙間が存在します。
この空間が、コウモリにとって利用しやすい場所になる場合があります。
雨が直接当たりにくい。
外から姿が見えにくい。
人が頻繁に触れる場所ではない。
こうした条件が重なるためです。
特に、シャッターボックスの端部や壁との接合部分、開閉に必要な隙間などは確認したい場所です。
ただし、シャッターボックスには可動部分があります。
単純に隙間を塞いでしまうと、シャッターが正常に動かなくなる可能性があります。
そのため、建物の構造を理解したうえで、コウモリの侵入を防ぐ方法を考える必要があります。
コウモリはどのくらいの隙間から入る?
アブラコウモリは体が小さく、狭い隙間を利用することができます。
一般的には、1〜2センチメートル程度の隙間でも、条件によっては侵入する可能性があります。
もちろん、すべての個体が同じ大きさの隙間を通れるわけではありません。
開口部の形状や奥行き、周囲の構造によっても変わります。
住宅には、こうした小さな隙間が意外と多く存在します。
例えば、軒天と外壁の接合部分。
屋根材と外壁の取り合い。
換気口の周辺。
シャッターボックスの端部。
外壁に取り付けられた設備の隙間。
人間から見ると、建物のわずかな隙間でも、コウモリにとっては十分な入口になることがあります。
「こんな小さな隙間から入るはずがない」という思い込みが、侵入口の見落としにつながることもあるのです。

フンの位置から侵入口が分かることもある
コウモリ調査では、建物の下に落ちているフンが重要な手掛かりになります。
例えば、シャッターの真下だけに黒い粒が集中している。
窓枠の一部分だけが汚れている。
換気口の下に毎朝フンが落ちている。
こうした場合には、その上部にコウモリが利用している場所がないか確認します。
アブラコウモリのフンは小さく、黒褐色の細長い粒状をしていることが多くあります。
昆虫を食べるため、乾燥したフンを観察すると、昆虫の外骨格などが含まれていることがあります。
ただし、見た目だけで確実に判断できるとは限りません。
ネズミなど、ほかの動物のフンと見間違える場合もあります。
そのため、フンの形状だけでなく、落ちている場所や建物の構造、動物の出入りなどを合わせて確認します。
ボウケンジャー(防研スタッフ)は、建物の上を見る前に、まず地面の汚れを確認することもあります。
小さなフンが、侵入口を探す大きなヒントになるからです。
夕方の観察が重要になる理由
コウモリは、日中は建物の隙間などで休み、夕方から夜間に餌を探しに出かけることがあります。
そのため、夕暮れ時の観察は、出入口を特定するために役立つ場合があります。
例えば、日没前後にシャッターボックスの端からコウモリが飛び出してくる。
換気口の周辺から数匹が続けて出てくる。
屋根の隙間から飛び立つ。
こうした行動を確認できれば、実際に利用している場所を絞り込むことができます。
ただし、すべてのコウモリが毎日同じ時間に出てくるわけではありません。
天候や気温、季節によって活動状況は変わります。
調査した日に姿が見えなくても、利用していないと断定することはできません。
必要に応じて、カメラなどを使って出入りを確認する方法もあります。
換気口は塞げばよいというものではありません
住宅の換気口周辺にコウモリが侵入している場合、侵入防止のために金属メッシュなどを設置する方法があります。
しかし、ここで注意したいのが換気機能です。
換気口は、建物内部の空気を排出したり、外気を取り入れたりするために設けられています。
目の細かいネットを無理に取り付けると、空気の流れが悪くなる場合があります。
また、ホコリなどが付着すると、さらに通気量が低下する可能性もあります。
そのため、換気口の対策では、コウモリの侵入防止だけでなく、本来の換気性能を維持できるかを確認することが大切です。
換気設備の種類によっては、メーカー指定の部材を使用したり、設備の専門業者と相談したりする必要があります。
コウモリのフンは衛生面にも注意
コウモリが長期間同じ場所を利用すると、フンや尿が蓄積することがあります。
シャッターボックスの内部や換気口周辺、屋根裏などでは、清掃しにくい場所に汚れが残る場合もあります。
フンや尿による汚れは、臭いや衛生上の問題につながることがあります。
ただし、コウモリがいたからといって、必ず感染症が発生するわけではありません。
必要以上に怖がるのではなく、適切な方法で清掃することが大切です。
乾燥したフンを勢いよく掃いたり、家庭用掃除機で吸い込んだりすると、汚れた粉じんが広がるおそれがあります。
少量のフンを清掃する場合には、手袋などを着用し、粉じんを舞い上げないよう注意してください。
大量のフンが蓄積している場合や、狭い場所での清掃が必要な場合には、専門業者へ相談することをおすすめします。
コウモリは自由に捕まえてはいけません
ここは特に知っておいていただきたいところです。
コウモリは鳥獣保護管理法の対象となる野生動物です。
そのため、原則として許可なく捕獲したり、殺傷したりすることはできません。
住宅に入り込んで困っている場合でも、自由に捕獲できるわけではないのです。
対策を行う際には、法令に従い、適切な方法で建物からの退去や侵入防止を検討する必要があります。
また、コウモリを素手で触ることも避けてください。
弱っている個体や室内へ迷い込んだ個体を見つけた場合には、無理に捕まえず、自治体などへ相談することをおすすめします。
捕獲に関する法令の基本的な考え方は、環境省の鳥獣捕獲許可制度でも確認できます。環境省
子育て中や冬眠中のコウモリには注意
アブラコウモリは、初夏から夏ごろに子どもを産むことがあります。
この時期には、建物の隙間に飛べない幼獣が残っている可能性があります。
親だけが外へ出た状態で侵入口を塞いでしまうと、幼獣が内部に閉じ込められるおそれがあります。
また、寒い時期には活動が低下し、冬眠状態になる個体もいます。
そのため、冬にコウモリが飛んでいないからといって、建物内部にいないとは限りません。
侵入防止施工を行う場合には、季節だけで判断せず、内部の生息状況を確認することが重要です。
ご家庭でできるコウモリ対策
コウモリ対策で、ご家庭でもできることがあります。
まずは、フンが落ちている場所を記録することです。
毎朝同じ場所に落ちているのか。
特定の窓やシャッターの下だけなのか。
夕方に飛び出してくる場所があるのか。
こうした情報は、専門業者が調査するときにも役立ちます。
安全な場所から写真や動画を撮影しておくこともおすすめです。
また、地上から確認できる範囲で、換気口の破損や外壁の隙間などを観察することもできます。
ただし、コウモリが利用している可能性がある穴を、自己判断ですぐに塞がないでください。
内部にコウモリが残っている場合があります。
高所の作業やシャッターボックスの分解、屋根裏での追い出しなどは、専門業者へ相談する範囲と考えてください。
専門業者による調査では何を確認するのか
防除研究所では、コウモリの調査でも建物全体の構造を確認することを大切にしています。
まず、フンや尿による汚れの位置を確認します。
次に、シャッターボックスや換気口、軒天、屋根まわりなど、侵入できる可能性のある場所を調べます。
必要に応じて、夕方の出入りや内部の活動状況も確認します。
そして、コウモリがいなくなったことを確認したうえで、侵入防止施工を検討します。
施工には、ステンレスメッシュや金属板などを使用する方法があります。
ただし、建物によって適切な材料や固定方法は異なります。
シャッターの開閉に支障がないか。
換気機能を妨げないか。
雨水が正常に排出されるか。
将来の点検や修理に支障がないか。
こうしたことまで考えて施工する必要があります。
一か所塞いでも、別の場所から入ることがあります
コウモリ対策では、侵入口が一か所だけとは限りません。
例えば、住宅にシャッターボックスが3か所ある場合です。
一つのシャッターからコウモリが出入りしていても、ほかのシャッターにも利用できる隙間が残っている可能性があります。
また、シャッターを対策しても、換気口や軒先に侵入できる場所があれば、別の場所を利用されることも考えられます。
そのため、被害が発生している場所だけでなく、建物全体の弱い部分を確認することが重要です。
ただし、すべての隙間を無条件に塞ぐことが正しいわけではありません。
建物には、換気や排水などのために必要な開口部があります。
その機能を維持しながら、コウモリが入りにくい状態にすることが大切です。
地域によってコウモリの発生環境も変わります
防除研究所では、関東・北関東・中部・関西・九州の各エリアで害虫・害獣対策に取り組んでいます。
コウモリのご相談も、地域や建物の構造によって状況が変わります。
例えば、関東や関西の住宅密集地では、シャッターボックスや換気設備など、住宅に設けられた小さな空間が利用される場合があります。
北関東や中部では、住宅の周辺に河川や農地、樹木などがあることもあります。
九州でも、気温や周辺環境、建物の構造によって活動状況は異なります。
ただし、地域だけで侵入原因を判断することはできません。
同じ地域でも、住宅が変われば利用される場所は変わります。
だからこそ、ボウケンジャー(防研スタッフ)は、現場ごとの状況を確認しながら対策を考えます。
専門業者へ相談したほうがよいケース
シャッターの下に毎日フンが落ちている。
換気口からコウモリが出入りしている。
屋根裏や壁の内部から物音がする。
複数のシャッターで被害が発生している。
市販の忌避用品を使用しても改善しない。
こうした場合には、一度専門業者による調査をおすすめします。
また、高所に侵入口がある場合や、シャッターボックスの分解が必要な場合も、無理にDIYで対応しないでください。
特に大切なのは、追い出しだけでなく、侵入防止や清掃まで含めて対策を考えることです。
まとめ コウモリ対策は小さな隙間を見つけることから始まる
アブラコウモリは、私たちの身近な場所で生活している小さな哺乳類です。
夜間に昆虫を捕食するなど、自然界では大切な役割を持っています。
しかし、住宅のシャッターボックスや換気口、屋根裏などを利用することで、人間の生活に問題が発生する場合があります。
だからといって、コウモリを見つけたら何でも駆除すればよいというものではありません。
なぜ、その場所を利用しているのか。
どこから出入りしているのか。
内部にコウモリが残っていないか。
建物のどの部分を対策する必要があるのか。
そして、再び侵入されないためには何が必要なのか。
こうしたことを一つずつ確認する必要があります。
私は、コウモリ対策は建物の構造を理解することが非常に重要な仕事だと考えています。
小さな隙間を見つけること。
その隙間が本当に侵入口なのか判断すること。
建物の機能を損なわずに侵入を防ぐこと。
そして、施工後も安心して生活できる状態にすること。
これらは、単にコウモリを追い払うだけでは実現できません。
防除研究所のボウケンジャー(防研スタッフ)は、コウモリの生態と建物の構造の両方を考えながら調査を行います。
必要な追い出し、侵入防止施工、フンの清掃、適切な衛生処理を組み合わせ、再発しにくい環境づくりを目指します。
関東・北関東・中部・関西・九州、それぞれの現場で建物の形も周辺環境も異なります。
だからこそ、一つの方法をすべての建物に当てはめるのではなく、現場に合った対策を考えることが大切です。
コウモリを追い出すことがゴールではありません。お客様がこれからも安心して暮らせるように、建物の状態を整え、同じ被害を繰り返さない環境をつくること。
これからも防除研究所は、小さな隙間一つにも目を向けながら、調査から再発防止まで、一つひとつの現場に責任を持って取り組んでまいります。
株式会社防除研究所
代表取締役 梅木厚生
害虫・害獣記事作成