出会いが人生を変える。相性と、心地よい距離について

おはようございます。

人生を振り返ると、自分の意思で決めてきたことの中にも、誰かとの出会いがきっかけになっているものがあると思います。

誰かの言葉で、挑戦してみようと思った。ある人の働く姿を見て、自分もこうなりたいと感じた。反対に、人間関係で苦労したことで、自分が大切にしたいものが分かった。

進学、就職、仕事、結婚、趣味。人生のいろいろな場面で、人との出会いが、その後の選択に関わっています。

もし、あの人と出会っていなかったら。もし、あのとき話をする機会がなかったら。そう考えると、今の自分は、たくさんの人との関わりの中で形づくられているのだと感じます。

今日は、人との出会い、相性、そして距離感について考えてみたいと思います。

出会いが人生を変えるというと、特別な人物との劇的な出来事を想像するかもしれません。しかし、身近な人との何気ないやり取りが、後になって大きな意味を持つこともあるでしょう。

迷っているときに、話を最後まで聞いてくれた人。失敗したときに、次にどうするかを一緒に考えてくれた人。自分では気づいていなかった良いところを、言葉にしてくれた人。

言った側は忘れていても、受け取った側には、長く残る一言があります。

そう考えると、私たちも誰かの人生に関わっているのですね。経営者や上司という立場に限らず、同僚として、親として、友人として、何気なくかけた言葉が相手の背中を押すことも、気持ちを沈ませることもあります。

いつも立派なことを言う必要はないと思います。ただ、目の前の人に、どんな言葉を渡すのか。そのことには、少し丁寧でありたいですね。

人との出会いについて考えると、よく出てくるのが「相性」という言葉です。

初めて会ったのに話しやすい人もいれば、何度会っても、どこか緊張する人もいます。同じ話をしていても、自然に笑い合える相手もいれば、意図がうまく伝わらない相手もいる。

相性は確かにあると思います。ただ、それだけで関係のすべてを決めてしまうのは、少し早い気もします。

話す速さや、物事を決めるまでの時間が違うだけかもしれません。結論を先に知りたい人と、背景から説明したい人。すぐに意見を言える人と、一度持ち帰って考えたい人。その違いが、最初は「合わない」と感じられることもあるでしょう。

例えば、すぐ返事が欲しい人には、慎重に考えている相手が消極的に見えるかもしれません。一方で、考える時間が必要な人には、答えを急ぐ相手が強引に感じられることもあります。

どちらかの性格が悪いと決めつける前に、相手は何を大切にしているのかを知る。そこから、付き合いやすくなる関係もあると思います。

「今、結論だけ教えてもらえると助かります」
「確認してから、午後に返事をします」

こうした一言があるだけで、余計な誤解を減らせます。相性の問題だと思っていたことが、伝え方を少し変えることで解決する場合もあるのではないでしょうか。

もちろん、努力をすれば誰とでも親しくなれる、ということではありません。

一緒にいると、ずっと気を張ってしまう。意見を伝えるたびに否定される。無理なお願いを断れず、疲れてしまう。そんな関係まで、自分の努力不足だと考える必要はないと思います。

相手を理解しようとすることと、自分の気持ちを押し込め続けることは、分けて考えたいものです。

私は、良い相性とは、何でも同じ意見になることだけではないと思っています。

意見が違っても、話ができる。分からないことを、分からないと言える。都合が悪いときには断ることができ、そのことで関係が壊れない。そういう安心感も、相性を考えるうえで大切なのでしょう。

趣味が同じだからといって、何でも合うとは限りません。反対に、性格も好みも違うのに、お互いの違いを面白いと思える相手もいます。

自分と似ているかどうかに加えて、違いをどう扱えるか。そのあたりに、長く付き合える関係のヒントがある気がします。

仕事では、特にこの視点が必要です。

自分と考え方が似ている人だけで仕事をすれば、話は早く進むかもしれません。しかし、同じところを見落とす可能性もあります。

新しいことを提案する人がいて、実行する段取りを考える人がいる。お客様の気持ちに気づく人がいて、数字や記録の不備を見つける人がいる。それぞれの力がかみ合うことで、仕事の質は上がっていきます。

ボウケンでも、現場、営業、事務、管理、それぞれの立場で見えているものは違います。自分には細かすぎると思える確認が、別の担当者にとっては欠かせないこともあるでしょう。

そこで、「あの人とは合わない」で会話を止めず、なぜその確認が必要なのかを聞いてみる。相手の仕事が分かると、その言葉の受け止め方も変わってくると思います。

経営する私自身も、話しやすさと仕事への評価を混同しないようにしたいと思っています。

自分に賛成してくれる人だけが、会社のためになるとは限りません。言いにくい問題を伝えてくれる人や、判断に疑問を投げかけてくれる人の存在も、大切にする必要があります。

そして、関係を長く続けていくために欠かせないのが、距離感です。

親しくなればなるほど、何でも話すべき、何でも頼めるはずだと思ってしまうことがあります。しかし、相手には相手の予定があり、家族がいて、一人で過ごしたい時間もあります。

仲が良いことと、いつでも自分に応じてもらえることは、同じではありません。

連絡の回数も、会う頻度も、心地よいと感じる程度は人によって違います。毎日話したい人もいれば、時々会ってゆっくり話せれば十分な人もいるでしょう。

連絡が少ないだけで、気持ちが離れたと決めつけない。すぐに返事がないだけで、大切にされていないと思わない。自分の感覚だけを物差しにすると、せっかくの関係が苦しくなってしまいます。

また、親しいからこそ、聞かない配慮もあると思います。

家庭の事情、お金のこと、健康のこと。本人が話したいときに話せるようにしておく。知っていることの多さだけで、関係の深さは決まらないでしょう。

会社でも、社員との会話は大切にしたいと思います。ただ、役職のある人から聞かれれば、答えたくなくても答えなければならないと感じることがあるかもしれません。

話しかけやすい雰囲気をつくると同時に、話さない自由も大切にする。その両方があってこそ、安心して働ける関係になるのだと思います。

家族にも、距離感は必要ですね。

近い存在だから、気持ちは伝わっているはず。これくらい手伝ってくれて当然。そう思ったときほど、言葉が足りなくなりがちです。

「ありがとう」「今日は難しい」「少し一人で考えたい」。短くても、自分の気持ちを伝えることが、余計なすれ違いを防ぎます。

家族でも、すべてを同じにする必要はありません。それぞれが自分の時間を持ち、戻ってきたときに話ができる。そういう関係にも、温かさがあると思います。

距離を取ることに、後ろめたさを感じる人もいるでしょう。しかし、少し離れることで、落ち着いて付き合えるようになる場合もあります。

会う回数を減らす。頼まれごとを引き受ける範囲を決める。仕事の連絡は、必要な内容を分かりやすく伝える。相手を責めることなく、自分が無理をしない方法を考えてよいと思います。

一方で、自分の希望を何も伝えず、相手が気づいてくれるのを待ち続けると、不満が積もることもあります。可能であれば、「これならできます」「この時間なら話せます」と具体的に伝える。関係を続けたいからこその調整もあるのです。

人生の段階によって、人との距離は変わります。

仕事や家庭の事情で、以前のように会えなくなることもあるでしょう。それでも、再会すれば自然に話せる関係もあります。会う回数が減ったからといって、それまでの時間の価値がなくなるわけではありません。

これまでの出会いを大切にしながら、今の互いに合った付き合い方を探していく。それくらいの柔らかさを持っていたいですね。

そして、これからの出会いにも、心を開いていたいと思います。

年齢や立場が違う人の話を聞く。自分にはない経験に触れる。そこで知った考え方が、仕事にも人生にも、新しい選択肢を与えてくれるかもしれません。

人との出会いで、人生は変わっていきます。その関係を育てるのは、日々の小さなやり取りなのでしょう。

相手を知ろうとすること。違いを急いで否定しないこと。親しくても感謝を言葉にすること。そして、自分も相手も無理をしすぎない距離を考えること。

私も、周りの人にとって、話すことで少し気持ちが軽くなるような存在でありたいと思います。これまでの出会いに感謝しながら、今日、目の前にいる人との時間を大切にしていきたいですね。

株式会社防除研究所
代表取締役 梅木厚生