「ありがとう」と「ごめんなさい」を、きちんと言える人でありたい

おはようございます。

「ありがとう」と「ごめんなさい」。

どちらも、子どもの頃から教わる言葉です。難しい知識も、特別な技術も必要ありません。それなのに、大人になってから、この二つを素直に言うことが、意外と難しくなる場合があります。

やってもらって当然だと思ってしまう。自分にも事情があったと言いたくなる。今さら口にするのが照れくさい。立場があるから、簡単には頭を下げられない。

そんな気持ちが、短い一言を止めてしまうのでしょう。

私は、この二つの言葉をきちんと言える人は、人から好かれ、信頼されやすいと思います。一緒にいて、気持ちよく過ごせる。何かあったときにも、話をしようと思える。その人との関係に、安心できるものがあるからです。

今日は、当たり前のようでいて大切な、この二つの言葉について考えてみたいと思います。

まず、「ありがとう」です。

仕事をしていると、自分の目に入る成果の向こうに、誰かの準備や気遣いがあります。

現場に必要な道具がそろっている。お客様との訪問時間が調整されている。書類の不備が直されている。車や共有スペースが使いやすく整えられている。

一つひとつは小さく見えても、それを誰かが行ってくれているから、次の仕事へ進めます。

ところが、毎日同じように整っていると、いつの間にか、それが普通になります。最初はありがたいと感じていたことにも、何も言わなくなってしまう。

人は、してもらえなかったことには気づきやすい一方で、いつもしてもらっていることには、慣れてしまうのかもしれません。

だからこそ、ときどき考えたいのです。

この仕事が予定どおり進んだのは、誰が何をしてくれたからなのか。自分が困らずに済んだのは、誰かが先に気づいてくれたからではないか。

そこに目を向けると、「ありがとう」を伝える相手は、思っていた以上にいるものです。

「仕事だから、やるのは当然」という考え方もあるでしょう。確かに、それぞれに担当する役割があり、責任があります。

それでも、役割を果たしてくれたことに感謝してよいと思います。給料を受け取って働いていることと、仲間から感謝を伝えられることは、それぞれ意味があります。

「早めに確認してくれて、助かりました」
「お客様への連絡、ありがとう」
「ここまで準備してくれたので、作業が進めやすかったです」

何に感謝しているのかが分かると、受け取る側も、自分の仕事が誰かの役に立ったことを感じられます。

大げさに褒める必要はありません。気づいたときに、短く伝える。それだけで、お互いの仕事が見えてきます。

家庭でも同じですね。

食事の準備、洗濯、片づけ、買い物、予定の調整。家の中には、終わって初めて気づく仕事より、やられていないときに気づく仕事がたくさんあります。

家族だから分かっているだろうと思っても、言葉にしなければ伝わらないことがあります。近い存在だからこそ、「ありがとう」を省略しないようにしたいものです。

もちろん、感謝の言葉を伝えるだけで、いつも同じ人に任せ続けてよいわけではありません。「ありがとう。次は自分がやるよ」と、行動が伴えば、相手の負担も軽くできます。

感謝したことをきっかけに、自分ができることにも目を向ける。そんな関係をつくれたらと思います。

もう一つが、「ごめんなさい」です。

こちらは、感謝よりも言いにくい場面があるかもしれません。

失敗を認めると、評価が下がるのではないか。自分だけが悪いと思われるのではないか。相手にも原因があるのに、なぜ自分が謝らなければならないのか。

そう考えて、まず説明や反論から始めたくなることがあります。

しかし、相手が困っているときに、自分の事情ばかりを先に伝えると、相手には「困ったことを分かってもらえていない」と感じられるかもしれません。

例えば、約束した時間に連絡できなかった場合です。

忙しかった事情はあっても、相手が待っていたことは変わりません。「連絡が遅くなり、申し訳ありません」と、まずその事実に向き合う。そのうえで、状況と今後の対応を伝える。

順番を少し意識するだけで、話の受け止められ方は変わると思います。

私は、自分の間違いに気づき、きちんと謝れることには、強さが必要だと感じます。

自分を良く見せたい気持ちより、起きたことに向き合う姿勢を優先する。その場の体裁より、相手との関係を大切にする。簡単そうでいて、気持ちの整理が必要なことです。

特に、年齢や立場が上になるほど、気をつけたいですね。

上司が部下に、親が子どもに、経験のある人が新人に。「こちらの説明が足りなかった」「確認せずに決めつけてしまった」と言えるかどうか。

私自身、経営者だからこそ、自分の言葉や判断を振り返る必要があると思います。間違ったときに認めることも、会社の責任者としての大切な姿勢です。

ただ、何でも自分が悪かったことにして、謝り続ける必要はありません。

自分に責任のないことまで引き受けたり、意見を言うことそのものに謝ったりすると、本当の問題が分からなくなる場合もあります。

自分に至らなかった部分は認める。そのうえで、確認が必要なことや、伝えるべき事情は落ち着いて話す。謝ることと、自分の考えを持つことは、両立できます。

また、謝ったからといって、すぐに許してもらえるとは限りません。

相手が困った時間や、受けた影響は、言葉だけで元に戻るものではないからです。「謝ったのだから、もういいでしょう」と、終わり方までこちらで決めないことも大切だと思います。

その後に、どう対応するか。約束したことを守るか。同じことを繰り返さないために、何を変えるか。そこを見てもらいながら、信頼を取り戻していくのでしょう。

ボウケンの仕事でも、この姿勢を大切にしたいと思います。

例えば、お客様から「説明を受けた内容が分からない」「報告書がまだ届いていない」とご連絡をいただいたとします。

そこで、社内の都合や担当者の忙しさを話す前に、お客様が何に困っているのかを受け止める。そして、事実を確認し、不備があればお詫びし、いつまでに何をするのかを具体的にお伝えする。

謝罪の言葉と、その後の対応がつながっていてこそ、お客様も次を待つことができます。

社内でも、ミスを隠さず報告してくれた人に、最初から強い言葉だけを返していたら、次から言いづらくなるかもしれません。

問題の報告を受けたら、まず必要な対応を考える。落ち着いてから原因を確認し、本人の課題と、会社の仕組みの課題を整理する。そうした進め方を、私たち管理する側も身につけなければいけません。

「ごめんなさい」が言える職場をつくるには、受け取る側の姿勢も問われます。

「ありがとう」についても、同じことが言えます。

誰かが感謝を伝えてくれたら、「役に立ててよかった」と受け取る。必要以上に否定したり、照れ隠しで突き放したりしない。言葉を交わしやすい空気は、お互いの反応によってつくられていくと思います。

そして、この二つの言葉には、共通していることがあります。

それは、自分の行動が相手にどう関わったのかを、きちんと見ることです。

助けてもらったときには、その人が使ってくれた時間や手間に気づく。迷惑をかけたときには、相手に生じた負担に目を向ける。自分の都合だけで話を終わらせない姿勢が、言葉になって表れるのだと思います。

だから、立場によって態度を変えないことも大切ですね。

お客様や上司には丁寧でも、同僚や後輩には何も言わない。それでは、身近な人ほど違和感を覚えるでしょう。

誰に対しても、してもらったことには感謝する。自分に非があれば認める。その一貫した姿勢が、少しずつ信頼になるのだと思います。

好かれたいから、上手に言葉を使う。そんなふうに考えすぎる必要はありません。

目の前の相手を大切にして、その気持ちを言葉と行動で伝える。その積み重ねの結果として、「この人とは安心して付き合える」「また一緒に仕事をしたい」と思っていただけるのでしょう。

今日一日を振り返ったとき、感謝を伝えそびれた人はいないでしょうか。少し言い方が強かった、約束を後回しにしてしまったと、心に引っかかっていることはないでしょうか。

思い当たることがあれば、今からでも伝えられます。

「さっきは、ありがとう」
「先ほどの言い方は良くなかった。ごめんなさい」

短い一言を、自分から伝える。その小さな行動を大切にできる人でありたいと思います。

私自身も、家族に、社員に、日々関わってくださる皆様に、感謝とお詫びをきちんと伝えられる人でありたい。そして、言葉にしたことを、次の行動につなげていきたいと思います。

株式会社防除研究所
代表取締役 梅木厚生