おはようございます。
つい、人の話を途中で遮ってしまう。やらなければいけないことを、後回しにする。心配しすぎて、一歩を踏み出せない。後から振り返ると、もう少し違う言い方ができたと思う。
誰にでも、自分で分かっていながら、なかなか直せない癖があるのではないでしょうか。
そして、何度か同じことを繰り返すと、「自分はこういう性格だから」と考えてしまうことがあります。周りも「あの人は昔からそうだから」と受け止め、いつの間にか変わらないことが前提になる。
しかし、本当にそうなのでしょうか。
今日は、人間の癖や性格は変わるのか、変えていくにはどうすればよいのかを考えてみたいと思います。
私は、自分のすべてを別人のように変えようとしなくても、日々の行動には変えられる部分があると思っています。
例えば、せっかちな気持ちを完全になくすことは難しくても、相手の話が終わるまで待つ工夫はできます。忘れやすい自分を責め続けるより、忘れても確認できる仕組みをつくることはできます。
「性格を直す」と考えると、何から始めればよいか分かりにくいものです。しかし、「明日の会議では、最後まで話を聞く」と決めれば、取り組むことがはっきりします。
まずは、自分が困っている行動、周囲を困らせている行動を、具体的に見てみる。そこが出発点になるのではないでしょうか。
そもそも、癖と性格を、ひとまとめにしない方がよい場合もあります。
確認する前に返事をすること、使った道具を戻さないこと、締め切り間際まで着手しないこと。そうした行動を見て、「雑な性格」「だらしない人」と決めつけると、その人全体への評価になってしまいます。
しかし、仕事で必要なのは、何が起きていて、どのように改善するかを考えることです。
道具を戻さないなら、戻す場所は分かりやすいか。後回しになるなら、最初に何をするかが決まっているか。確認が抜けるなら、どの時点で何を見るのかが明確か。
性格の一言で終わらせていたことにも、変えられる条件があるかもしれません。
また、ある特徴が、場面によって長所にも短所にもなることがあります。
慎重な人は、決断に時間がかかる一方で、細かな危険に気づけるかもしれません。行動の早い人は、仕事を進める力がある一方で、確認を急いでしまうこともあるでしょう。
大切なのは、特徴をすべて消そうとすることより、自分の良さを生かしながら、困る場面で行動を調整することだと思います。
ただし、「これが自分の個性だから」で、周囲への影響を片づけないようにしたいですね。
言い方が強くなりやすいと分かっているなら、その言葉を受ける人がどう感じるかも考える。自分を理解することは、行動に責任を持つためにも必要なのでしょう。
では、具体的に何から始めるか。
私は、まず「いつ、その癖が出るのか」を知ることが大切だと思います。
いつでも強い言い方をするのか。それとも、時間に追われたときなのか。予定が変わったときなのか。同じ説明を求められたときなのか。
後回しにしてしまうのは、すべての仕事なのか。それとも、進め方が分からない仕事や、誰かへの相談が必要な仕事なのか。
「自分は駄目だ」と大きく捉えるより、出来事を細かく見た方が、次にできることが見えてきます。
例えば、「報告書をいつも後回しにする」という悩みでも、文章を書き始めることが負担なのか、写真を探すのに時間がかかるのかで、工夫は変わります。
現場を離れる前に要点だけ記録する。写真を案件ごとに分ける。分からない部分を先に相談する。一つの行動を変えることで、仕事に取りかかりやすくなるかもしれません。
次に、「やめる」だけでなく、「代わりに何をするか」を決めておくことです。
人の話を遮らないようにしようと思っても、言いたいことが浮かぶと、口を挟みたくなることがあります。そんなときは、思いついたことをメモにして、相手の話が終わってから尋ねる。
すぐに強い言葉を返してしまうなら、「まず状況を確認させてください」と言って、質問から始める。
焦っているときでも選べる行動を、先に一つ用意しておく。抽象的な反省より、自分が動きやすくなると思います。
一度に多くを変えようとしないことも、大切ではないでしょうか。
早起きも、片づけも、言葉遣いも、時間管理も、すべて明日から改善する。意欲は立派ですが、続かなかったときに、「やはり自分には無理だ」と感じてしまうのは、もったいないことです。
まず一つ、場面を決めて取り組む。
「朝、仕事を始める前に今日の予定を確認する」
「道具を使い終えたら、次の作業へ移る前に戻す」
「意見が違うときは、相手の理由を一つ聞く」
できたかどうかが分かるくらい、具体的にしておく。それを振り返りながら、自分に合うやり方へ直していけばよいと思います。
その際、気合いだけに頼りすぎないようにしたいですね。
道具を戻してほしいなら、戻す場所を決めて表示する。確認を忘れやすいなら、必要な場所に確認項目を置く。予定を見落とすなら、記憶に頼らず、予定表で確かめる。
仕事では、こうした工夫を「自分は苦手だから」と恥ずかしがる必要はありません。確実に役割を果たすために、自分に必要な仕組みを使う。それも、仕事をする力の一つです。
ボウケンでも、現場での確認や報告を、個人の記憶や注意力だけに任せきりにしないことが大切だと考えています。
同じ抜けが続くなら、本人への声かけと同時に、仕事の流れを見直す。いつ確認すれば無理がないか、誰に相談すれば止まらずに進むかを考える。
「注意して」で終わらせず、注意しやすい形にする。それは、会社が取り組むべき仕事でもあります。
人を指導する場面では、言葉の選び方にも気をつけたいと思います。
「あなたはいつも雑だ」と言われると、何を変えればよいのかが分かりません。「今回の報告では、この写真と説明が不足していた。次は提出前にここを確認しよう」と伝えれば、修正する行動が見えます。
本人の性格について話し合うより、実際に起きたことと、次の対応を共有する。その方が、お互いに前へ進みやすいでしょう。
また、人が変わろうとしているときには、周囲も以前の印象だけで見ないことが必要です。
確認するようになった人に、「どうせまた忘れる」と言い続ける。意見を言い始めた人に、「今日は珍しいね」とからかう。そうした反応では、本人も新しい行動を続けにくくなるかもしれません。
「今回は早めに相談してくれて助かった」
「前より説明が分かりやすかった」
変化があれば、その事実を伝える。本人が努力したことと、仕事への良い影響が結びつけば、次も続ける意味を感じられると思います。
もちろん、変えようとしても、以前の癖が出る日もあるでしょう。
その一回で、これまでの取り組みがすべて無駄になったとは考えたくありません。何があったのかを振り返り、必要なら謝り、次の行動をやり直す。
変わるというのは、二度と失敗しない人になることではなく、自分の行動に気づき、修正できる場面を増やしていくことでもあると思います。
そして、周りの人を変えることについては、自分の思いどおりにはならないと知っておく必要があります。
相手のためを思っているつもりでも、こちらの好みや都合を押しつけている場合があります。仕事で守るべき基準なのか、自分とは違うやり方が気になるだけなのか。その区別は大切です。
必要なことは具体的に伝える。相手の事情や考えも聞く。そのうえで、どうするかを話し合う。性格を丸ごと変えるよう求めても、お互いに苦しくなってしまいます。
これは、家族との関係でも同じでしょう。
「昔からそうだ」と言いたくなったときこそ、今、何をしてほしいのかを言葉にする。「もっと気を利かせて」より、「出かける時間が変わるなら、先に知らせてほしい」の方が、相手も応えやすいはずです。
私自身も、経営者として社員に変化を求める以上、自分の言い方や聞き方を見直していかなければいけないと思っています。
結論を急ぎすぎていないか。説明の途中で判断していないか。相手が話せる時間をつくっているか。立場が上がるほど、指摘してもらいにくくなる部分にも、自分で目を向けたいですね。
人間の癖や性格は変わるのか。
一人ひとり違いがありますし、簡単に言い切れることではありません。それでも、「今日のこの場面では、いつもと違う行動をしてみる」という一歩は考えられます。
自分の良さは大切にしながら、困っている癖には工夫を加える。できたことを確かめ、うまくいかなければ方法を見直す。
「自分はこういう人間だから」と結論を出す前に、明日から変えられることを一つ探してみる。
私も、その一歩を重ねながら、周りの人と気持ちよく仕事をし、暮らしていける自分でありたいと思います。
株式会社防除研究所
代表取締役 梅木厚生