休みの日、皆さんはどのように過ごしていますか。
朝から出かける人。家族と過ごす人。趣味を楽しむ人。家のことを片づける人。そして、予定を入れずに、ゆっくりしたい人。
同じ一日でも、過ごし方はいろいろです。
私は、休日には仕事の日とは違う大切さがあると思っています。何かを成し遂げる日があってもよいし、特別なことを何もしない日があってもよい。自分の暮らしに必要な時間を、自分で選べることが大切なのだと思います。
ただ、休みが終わる頃に、「今日も何となく終わってしまったな」と感じることはないでしょうか。
朝起きてスマートフォンを見て、少しだけのつもりが長くなる。気づけば昼になり、何をしようか考えているうちに夕方になる。
それで気持ちが休まったなら、十分に意味のある一日です。でも、やりたいことがあったのにできなかった、休んだ気がしないというのであれば、休日の使い方を少し変えてみてもよいかもしれません。
私は、休日まで細かい予定表で埋める必要はないと思います。
仕事では、訪問時間、作業内容、提出期限など、時間に合わせて動く場面がたくさんあります。休みの日も予定に追われていたら、落ち着く時間がなくなってしまいます。
だから、「今日はこれができたらうれしい」ということを、一つだけ決めるくらいでもよいのではないでしょうか。
家族と食事をする。気になっていた店へ行く。車を洗う。読みかけの本を少し読む。何も予定を入れず、のんびりする。
自分で選んだ一つがあるだけで、一日の受け止め方は変わる気がします。
私の場合、好きなものの一つが車です。
AE86のような車には、移動するための道具というだけではない楽しさがあります。形を眺めたり、気になる部分を見たり、これからどのように手を入れるかを考えたりする。その時間も含めて、趣味なのだと思います。
車が好きではない方には、不思議に見えるかもしれません。「同じ車を見ていて、何がそんなに楽しいのか」と思われることもあるでしょう。
でも、趣味はそれでよいのだと思います。
釣りが好きな人。音楽が好きな人。料理、旅行、スポーツ、ゲーム、園芸。人によって、心が動くものは違います。
誰かに立派だと言ってもらうために楽しむ必要はありません。お金になるか、仕事に役立つかということから少し離れて、「自分はこれが好きだ」と思えるものがあるのは、よいことだと思います。
大人になると、何かを始める前に、つい理由を探してしまいます。
今から始めても遅いのではないか。上手にできるだろうか。道具をそろえるほど続くだろうか。
もちろん、無理のない範囲で考えることは必要です。ただ、最初から上達や結果を求めなくてもよいのではないでしょうか。見学するだけ、少し体験するだけでも、楽しみの入り口になります。
休日には、そうした小さな好奇心を大事にしたいと思います。
そして、家族と過ごす時間も忘れたくありません。
毎日顔を合わせていると、いつでも話せるような気がします。しかし、実際には、仕事や学校、家事などで、それぞれが忙しくしています。
「今日どうだった」と聞いても、ゆっくり答えを聞く時間がない。伝えようと思っていたことが、そのままになっている。そうしたこともあるでしょう。
休日に少し落ち着いて話してみると、家族が最近何を考えているか、どんなことを楽しみにしているかに気づけるかもしれません。
遠くへ旅行に行くことだけが、家族との時間ではありません。
一緒に買い物へ行く。食事を作る。近所を歩く。同じテレビを見ながら笑う。何気ない時間にも、その家族らしいよさがあります。
ただし、自分が休みだからといって、家族も同じように休めるとは限りません。
食事の準備も、洗濯も、掃除も、日々の暮らしには必要です。自分がゆっくりしている間、誰かがそれを引き受けていることもあります。
「何をしてもらおうか」だけでなく、「今日は自分が何を担当しようか」と考える。家のことを分担して、家族にも休める時間ができれば、休日の過ごしやすさは変わると思います。
これは、私自身も意識していきたいことです。
一方で、誰かと過ごす時間ばかりでなく、一人になる時間も大切です。
普段、人と接する仕事をしていれば、休みの日くらい静かに過ごしたいこともあるでしょう。誘いを受けても、今日は家にいたいと思うこともあります。
毎回、誰かの予定に合わせる必要はありません。自分がどう過ごしたいかを、相手に伝えることも大切です。
一人で食事をする。好きな音楽を聴く。目的地を決めずに近所を歩く。部屋でゆっくりする。
そうした時間を寂しいものと決めつけなくてもよいと思います。自分のペースで過ごせることに、心地よさを感じる人もいるはずです。
若い社員の皆さんには、会社以外の世界にも、興味を持ってほしいと思っています。
職場では、どうしても同じ業界の話や、目の前の仕事の話が中心になります。それも大切ですが、違う仕事をしている友人と話したり、普段行かない場所へ行ったりすると、知らなかった考え方に出会うことがあります。
飲食店での接客に感心することもあれば、ものづくりの展示を見て驚くこともあるでしょう。
ただ、それを何でも仕事の勉強に結びつける必要はありません。まずは、面白いと思ったものを面白がる。気になったことを少し知ってみる。その経験が、後から自分の言葉や考え方を豊かにしてくれることもあると思います。
年齢を重ねた人にも、同じことが言えるのではないでしょうか。
「この年齢だから、もう新しいことはいい」と決めてしまうのは、少しもったいない気がします。若い人に教えてもらう楽しさもありますし、昔好きだったことを再び始める楽しさもあります。
仕事では教える立場の人が、趣味では初心者になる。それも、よい経験だと思います。
もちろん、休日に何かを学んだり、資格の勉強をしたりすることも、一つの選択です。
自分が目指すもののために時間を使い、少しずつできることが増えていく。それに喜びを感じる人もいるでしょう。
ただ、周りと比べて焦る必要はありません。
「あの人は休みの日も勉強している」
「自分も何かをしなければ置いていかれる」
そんな気持ちばかりになると、休みが別の競争になってしまいます。今は学びたい時期なのか、ゆっくりしたい時期なのか。自分の状況に合わせて考えればよいと思います。
SNSを見れば、旅行や趣味を楽しむ写真がたくさん目に入ります。人の休日が、自分より充実しているように見えることもあるでしょう。
でも、写真に写っているのは、その人の生活の一部分です。
自分の一日を、人に見せるために整える必要はありません。遠出をしなかった休日にも、予定がなかった休日にも、その人にとっての意味があります。
大切なのは、終わったときに自分がどう感じるかです。「ゆっくりできた」「楽しかった」「気になっていたことが一つ片づいた」。そんな実感があれば、十分ではないでしょうか。
経営者としては、社員が休みの日に仕事から離れられる会社にしていくことも考えなければなりません。
担当者が休むたびに、周りが何もわからなくなる。本人に電話しないと、次の作業が進まない。その状態では、安心して休めません。
普段から記録を残し、必要な情報を共有し、引継ぎをする。お客様への対応が必要なときにも、会社として動けるようにする。
休みやすさは、本人の気持ちだけではつくれません。日々の仕事の仕組みから整えていく必要があります。
ボウケンの仕事は、お客様の暮らしを支える仕事です。その仕事を担う社員にも、それぞれ大切な暮らしがあります。
家族との時間も、趣味も、一人で過ごす時間も、その人の人生の一部です。仕事に真剣に向き合ってほしいからこそ、仕事以外の時間も大切にしてほしいと思います。
休みを、次の出勤に備えるためだけの時間にしたくはありません。
自分の人生を楽しみ、大切な人と過ごし、好きなものに触れる。そのための時間として、遠慮なく使ってほしいのです。
次の休日、皆さんは何をしたいでしょうか。
大きな予定でなくて構いません。誰かに会う。好きなものを食べる。久しぶりに趣味の道具を出す。あるいは、予定を入れないと決める。
私も、経営者としての時間と、一人の人間としての時間、その両方を大切にしていきたいと思います。
仕事をする自分も、車が好きな自分も、家族と過ごす自分も、すべて自分です。
休みの日くらいは、時計や予定に少し余白をつくって、自分が心地よいと感じる時間を過ごしてみる。
そんな休日が、それぞれの暮らしの中にあってほしいと思います。
株式会社防除研究所
代表取締役 梅木厚生